Project Story
新国立競技場
長大なスケジュール管理のなか
多くの企業が一丸となって進めた
世界が注目する日本の新しいレガシー
- 場所
- 東京都・新宿区
- プロジェクト名
- 新国立競技場
建設工事・整備事業 - 事業カテゴリ
- 都市設備
- 施工日
- 2016.01 ~ 2019.11
- Facility
-
新国立競技場
2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場として、計画された「新国立競技場」。隈研吾建築都市設計事務所による設計で、木材や日本の伝統的な意匠を盛り込んだデザインに注目が集まります。
- Member
-
1級管工事施工管理技士 滝口 武親
新田菅工では、主に都市設備の商業施設やインテリジェントビルを担当。地域冷暖房設備の敷設や、長期プロジェクトのマネジメントのプロフェッショナルとして、都市設備の開発事業を培う。
- Data
-
- 発注者
- 独立行政法人 日本スポーツ振興センター
- 請け負い
- 大成建設株式会社
- 設計
- 隈研吾建築都市設計事務所
- 用途
- 敷地面積約113,000㎡/建築面積約72,400㎡/地下2階 地上5階/座席数:完成時約60,000席(将来、約8万席への増設が可能な計画)
Mission
世界が注目する
ワールドプロジェクト
大量の国産木材を使用し、神宮外苑など周囲との調和を図った「新国立競技場」。設計した隈研吾氏は「杜(もり)のスタジアム」をコンセプトにデザインしました。東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場としてだけでなく、東京という大都市の新たなランドマークとしても重要な建築になります。
今回の設計で使用される国産木材は約2000立方メートルにものぼり、木材の積極的な活用は地球温暖化の抑制や森林の循環作用を促進することにもつながります。こうした世界から注目される大型建築で、木材が使用できる背景には不燃技術の発達があります。不燃性の木材が多く使われることが地球環境への提案となり、新たな可能性を伝える役割も担っています。また、屋根は観客席の上部のみとなっており、「新国立競技場」の中央は解放されています。この手法では雨天時の排水が課題となりますが、効率的な排水技術を用いることで、大幅な工期と建築コストの軽減につながります。この雨水排水設備の施工を新田菅工が担当し、新宿区作成の洪水ハザードマップのデータの1.5 倍の降雨量 180mm/h を前提としてスタジアムの排水設計を行いました。
全てにおいて確証が必要
大まかな設計図やスケジュールにもとづいて、具体的な工法や施工プランを提出するのですが、今回のような国家プロジェクトでは全行程の細かなことまで全て仮説を立ててチェックし、関係各所の認証を得る必要があります。認識の違いや情報共有に漏れが出ると全体に影響するため、全員が大丈夫だと認識できる状態を作ってから工事に入るのです。ですから、事前に納品までの全ての工程を予測する必要があり、準備だけで半年以上を費やしました。
逆算での計画
東京オリンピック・パラリンピックは2020年に開催される国家プロジェクトです。当然、そのメイン会場となる「新国立競技場」の建設は、絶対に遅れが許されないため、全てのスケジュールから逆算しながら、最終的に工程表まで導いて共有する必要があります。その精度を上げていくには、情報が共有されるのを待っているだけではダメ。自分からどんどん取りに行かないと、様々な判断の遅れにつながります。常に全体を俯瞰する視点と、現場で動きながら肌感覚で調整するセンスの両方が求められる現場でした。
Challenge
当たり前
という難しさ
「新国立競技場」の敷地は明治神宮外苑に隣接し、渋谷区と新宿区にまたがる広大なエリアです。建設には多くの企業とたくさんのスタッフが関わり、担当しているパートの工事を進めています。一見、それぞれが作業を分担しているように見えますが、実際には全ての工程がきちんと繋がることでリレーのバトンのように次々と工事が進んでいくのです。逆に言えば、ミスが一箇所でも見つかると、そこに至るまでの全ての工程を見直す必要があり、原因を突き止めるのに膨大なロスが発生します。ですから、準備、計画、施工の全ての工程でダブルチェック、トリプルチェックを行いながら作業を進めました。
どの現場でも当たり前のことですが、長期的なプロジェクトではクオリティを維持し続ける難しさがあります。日々のコンディションの整え方や、スタッフみんなのコミュニケーションも影響するので、休むことの大切さをみんなで共有するように心がけました。一つのミスもないものを確実に渡す。当たり前のことを続けていく大切さと難しさを実感しました。
思いやりを持ってプロジェクトを進行させる
これだけ練った計画でも、現場での調整は必要になります。しかし、年をまたぐスケジュールでは全体のプロセスのどこをやっているのかという意識が薄れてしまうこともあります。昨日問題がなかったからといって、今日も問題が起きらないとは限りません。配管工事だけでなく、プロジェクト全体がどのような状況なのか、常に工事計画を練り続け、自分の一部になるように心掛けていました。今回の工事では新しい技術を取り入れる難しさというよりも、30年、50年と施設を問題なく稼働させるための作業に多くを割いています。なぜなら遺産とは、長く愛されることで真価を発揮するものだと考えているからです。
計画を練り続ける大切さ
これだけ練った計画でも、現場での調整は必要になります。しかし、年をまたぐスケジュールでは全体のプロセスのどこをやっているのかという意識が薄れてしまうこともあります。昨日問題がなかったからといって、今日も問題が起きらないとは限りません。配管工事だけでなく、プロジェクト全体がどのような状況なのか、常に工事計画を練り続け、自分の一部になるように心掛けていました。今回の工事では新しい技術を取り入れる難しさというよりも、30年、50年と施設を問題なく稼働させるための作業に多くを割いています。なぜなら遺産とは、長く愛されることで真価を発揮するものだと考えているからです。